自公政権はまだ統一教会を守るのか。解散命令が出される前に財産移転する宗教法人を取り締まる財産保全新法は必要不可欠。現行法では提訴して第三者破産の申立をするしかない高いハードル。

統一教会の財産保全、自公が法案提出を見送り(毎日新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/7e0068eec7b3ea7e83245ff3aaeccaabdeff378a

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済策などを検討している自民、公明両党のプロジェクトチーム(PT)は14日、政府に対する提言をまとめた。教団財産の保全を包括的に可能とする新法制定に向けた法案提出は、信教の自由を保障する憲法に抵触する恐れがあるとして見送った。
 一方で、教団の財産流出を防止するため、不動産処分前の通知を教団に義務付ける宗教法人法の改正を盛り込んだ。元信者ら被害者の訴訟支援のため、日本司法支援センター(法テラス)による支援を強化する総合法律支援法の改正も求めた。
 立憲民主党日本維新の会が教団財産保全のために国会に提出した法案については「有識者からも信教の自由に抵触するおそれが強く指摘されている」とし、慎重な検討が必要との見解を示した。
 PT座長の若宮健嗣元消費者担当相は14日、国会内で記者会見し「どうやったら迅速に幅広い形でさまざまなニーズに応えることができるのか、被害者の支援ができるのかに重点を置いて、解決策を模索した」と述べた。【菊池陽南子、竹内望】

ヤフコメより。
西田亮介
社会学者・東京工業大学准教授
憲法が保障する信教の自由と、統一教会問題の具体的対応の狭間で難しい対応が迫られていた。そのなかで、具体的な改正は注視の必要があるが、記事がいうところの「不動産処分前の通知を教団に義務付ける宗教法人法の改正」はなかなか絶妙といえる。おそらくもとから存在する宗教法人法の第二十三条の財産処分等の公告の対象を信者や利害関係者からより広範にすることや、第二十四条の行為の無効等をあわせて強化するのではないかと考えられる。例外的な場合においてさえ、事件や問題事例があると、世論は全般に過剰で広範な規制強化を求めがちだ。適切な予防、対処、解決策の実装と、過剰規制を防ぐ策が求められる。

朝日新聞の記事です。

https://www.asahi.com/articles/ASRCB4HNPRC9UPQJ006.html

自民はまだ教団を守るのか 菅野志桜里さん「核心は財産保全新法」

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令が10月13日に請求されましたが、まだまだ課題は山積みです。被害者救済のため、これから政治はどう動けばいいのでしょうか。この問題に詳しい弁護士で元衆院議員の菅野志桜里さんに聞きました。(聞き手・小村田義之)
 旧統一教会の問題を振り返ると、ずっと続いているのが「お金」の話です。日本の信者が、教団の韓国本部の集金マシンとなっている構造があります。そのお金の流れを断ち切れるかどうかが問題の核心です。韓国への教団財産の流出が続けば、裁判所が解散命令を出した時には被害者救済の原資がなく、泣き寝入りすることになりかねません。
 先日、教団側が会見をしましたが、あまりにご都合主義的な内容でがくぜんとしました。一方的に設定した100億円の損切り情状酌量を狙い、財産保全や解散命令を回避しようという狙いがみえます。解散命令請求を争う間に、教団の財産をできる限り韓国や個人に移してしまうつもりなら、この算段が根底から覆される財産保全新法がよほど嫌なのでしょう。現行法はこんな無理筋の供託を許していないので、政府がこの提案を一蹴したのは当然です。「教団による教団のための」法律づくりを求めるあたり、社会との最低限の共感の接点を失っているのではないかと心配にもなります。
 こんな「トンデモ」提案が出てきたことで、財産保全新法の必要性がクローズアップされたわけですが、今国会で本当にこの財産保全という核心部分に切り込むことができるのか。そのことが問われます。
 その意味で野党の立憲民主党日本維新の会が財産保全に向けた法整備を提案したのは、意義深いです。政府による解散命令請求を受け、与野党の枠を超えて、国会の責任として一刻も早く解決しなければならない。財産保全新法が通らなければ、財産隠しなど教団の自由度が維持されてしまうのです。
不作為なら政教分離違反にも
 この問題を放置するのは、何もしないことで犯罪的な行為を手助けしてしまう「不作為の幇助(ほうじょ)犯」に近いと思います。これまで自民党は、あからさまに教団を支援するメッセージを出して「作為」の幇助を続けてきましたが、この期に及んで教団を守るために「不作為」を選択するなど、あってはならないことです。
 解散命令の請求自体は政府の判断ですが、その判断は、教団の違法性を認めてきた多くの司法判断の土台の上にあります。政権・自民党との積年の密接な連携も明るみに出ており、不作為はむしろ、特定宗教の優遇という意味で政教分離違反にあたる。そんな見方も成り立つように思います。
 自民党の検討は、萩生田光一政調会長の下で行われています。教団と密接に連携してきた清和会(安倍派)の重鎮で、教団との過去の関係が指摘されている政治家です。それで本当に被害者救済のための検討が出来るのか。サボタージュしたり、教団を救済するための検討になったりしないか。疑いの目で見られるのは当然でしょう。
 岸田文雄首相は、あえてその萩生田さんを問題解決の表舞台に立たせたのですから、対応できなければ岸田さんが批判を浴びることになります。財産保全新法の成否は、自民党と教団との「関係を断つ」宣言の真偽に直結すると言ってもいいでしょう。
要件絞れば憲法範囲内で制約可能
 もちろん、憲法の財産権との関係はよく議論すべきですが、金額に着目して保全上限を設けたり、行為に着目して一定の財産移転を許容したり、監督者を置いたりするなど知恵を絞ることは十分可能です。
 二段構えの保全も考えられます。1段階目は個別の財産処分、移転や名義変更をする際には「監督者の同意を必要とする」という形をとって、同意をとらないまま強行するような動きがあった時に、2段階目として改めて包括的な保全に移行するという手法です。
 そもそも政府として、教団は税制優遇すべき宗教法人に値せず、蓄財は世俗に返すべき団体だと判断したのですから、蓄財隠しや海外流出の客観的リスクが高い状況で、要件を絞って保全するのは、憲法29条「公共の福祉」の範囲内の財産権制約といえます。
 宗教家や学者らで構成する宗教法人審議会の透明性にも課題があり、このような問題での情報公開のあるべき姿も議論すべきだと思います。解散命令請求を議論してきた宗教法人審議会は議事録公開が止まっていますし、解散命令の裁判自体も原則非公開です。解散命令請求まで、そして請求以降も、基本的にはブラックボックスになってしまっています。今回、宗教法人審議会が政府からいかなる諮問を受けて、どんな物差しで、何を判断したのか、ということが分析できない状況です。今回、解散命令請求を是とした審議会の判断は適切だと思いますが、プロセスに危うさがなかったかどうかは分かりません。リアルタイムでは要旨を公開し、一定期間が経過したら議事録を公開するような運用を考えるべきでしょう。
政治を動かした世論、風は今も
 旧統一教会は、被害者の救済に取り組むと言いながら、実際には、領収書の開示や、献金情報の開示に応じていません。自由な意思決定を奪われた状態での長期多額の献金被害を回復するためには、教団側からの情報開示が必要不可欠です。また、再発防止のためには、自らの違法を認めた根本的な謝罪が求められますが、今なお、信徒がやったことの監督不足というストーリーに固執しています。真摯(しんし)な変化があったようには見えません。これから脱会者は増えていく一方で、救済原資はなくなるという状況にあります。どう救済の手をさしのべていくのかが、すごく大事です。
 不作為に陥りがちな政治の背中を強く押してきたのが、世論の力です。当事者と専門家がタッグを組んで世論を動かし、その世論が政治を大きく動かしました。昨年来、被害者救済法や解散命令請求を求める風が吹き、その風はやむことなく財産保全という核心に向かっています。(聞き手・小村田義之)

財産保全新法が成立するまでは、現行法では悪質な宗教団体を提訴して第三者破産の申立をして宗教団体の財産を差し押さなければいけないという高いハードルがあります。
悪質な宗教団体に根こそぎ財産を奪われてしまった場合は同じような被害にあった人々を集めて集団訴訟をするか、カンパを募るしかないと思います。

設立当初からトラブルを抱えていた!宮城県仙台市太白区で宗教法人萩恩院が倒産: 倒産速報 明日はわが身

http://002tousan.seesaa.net/article/290374507.html

整理回収機構RCCが京都の大日山法華経寺何有荘(かいうそう)の所有者を でっち上げの詐欺罪を理由に解散命令の申立をして、大日山法華経寺を解散させて、何有荘を差し押さえして奪い取ってオラクル社CEOのアメリカ人実業家ラリー・エリソン氏に売却したという滅茶苦茶な不当判決の事例もあります。
下の記事では、検察も解散命令の申立ができるので、文科省が動きが悪いなら、検察がやってもよいという豆知識もあり勉強になります。

八木啓代のひとりごと 宗教法人解散命令のミステリ:なぜメディアはこの件に触れないのか?

http://nobuyoyagi.blog16.fc2.com/blog-entry-805.html